2015年3月25日水曜日

ごちゃ混ぜパスタに焼きパスタ、なんとあんかけスパも??〜料理コース紹介

▲石を上からギューっと押して、まるでつけものみたいにしたから焼くパスタフォルノ。
▲重石の下にはなんとパスタが・・・
▲トマトソースのスパゲッティをナスで巻いてオーブンへ。おしゃれ。

プリモピアット(パスタ料理)には、プリモアシュットとプリモ イン ブロードに大きく分けられます。プリモアシュットがいわゆる通常のソースを使ったパスタ、そしてインブロードがスープパスタなどの分野にあたります。
イタリアではたくさんのパスタ(スパゲッティなどの長いものからショートパスタまで)をソースの内容に合わせて、使いわけます。その数はすごく多くて、日本人の私たちには、使いわけるのはなかなか難しいですよね。
日本でいえば、具にあわせて赤味噌や白味噌を選ぶみそ汁や、豚骨なら細麺などスープに合わせて麺を選ぶラーメンなどに感覚が近いかもしれません。
なので使いわけると、イタリア料理の面白さと深い味わいをもっと感じることができます。
日本にもたくさんの種類のパスタが入っているので、ぜひ挑戦してみてください。

さてさて、今回はパスタソースの面白いお話。
シチリアには「パスタフォルノ」という、焼きパスタがあります。残りものを再利用したんじゃないか・・・などの通説がありますが、そうではありません。歴史はやはりシチリア貴族に使えたフランス料理人のモン・スー が持ち込んだものです。ラザニアとも違います。この時には必ず、しっかりとしたショートパスタを使います。オーブンで焼いたあともしっかりとした状態を保てるように。一旦パスタを作った後に耐熱容器にいれて、オーブンへ。その前にも上から、これでもか!というほどパスタをギュウギュウに押し付けます。
大きく焼き上げたパスタフォルノをみんなで囲む瞬間はなんとも言えません。
そしてもうひとつのお話。
こちらではミネストローネをはじめ、ズッパと呼ばれるスープ類があります。実はこれもすごく種類が豊富で、冬の寒い日には体を温めてくれます。そして注文すると、その中には小さなパスタが入っていることが多いです。
ここに使うパスタはスープによっては、ペンネ、カッペリーニ、ナポリターノetc・・・、太いものから細いものまで、残りもののパスタを全部、投入という思い切ったスープもあります。これであますことなくパスタを使えますし、見た目にも結構ユニークです。そしてこの時には、パスタはスープにそのまま投入です。パスタが水のかわりにスープを吸い込んで、とっても美味しいですし、ボリュームもでてお腹も満足です。
▲スープパスタ、家庭ではマンマが「パスタいれるの?いれないの?」なんて会話が飛び交うそうです

 そしてなんと!あの名古屋名物あんかけパスタ!! 名古屋人は不思議ね・・・、なんて正直、思っていましたが、なんとシチリア料理にありましたよ、驚きです。
魚介のスープをしっかりとソースに絡ませるのにコーンスターチを使うのです。仕上がりは、まさに「あんかけパスタ」。
知れば知るほど奥が深く、面白いイタリア料理、シチリア料理です。
▲小さなイカを使ったシンプルなパスタ、濃厚な海の香りが食欲をそそります。




2015年3月21日土曜日

シェフのための特訓コース3)ピスタッキオはシチリアでも新しい料理?


▲ピスタッキオを使った牛肉のタルタル、優しいピスタッキオの甘さと歯ざわりがアクセントに
シチリアといえばピスタッキオのイメージで、それを使った料理やデザートも日本ではおなじみです。しかしながら実はピスタッキオを使った料理とは決して伝統料理ではなく、歴史的にみると、とっても新しい料理のひとつ、実は商業的な目的が高く、決して伝統料理ではないということでした。
しかもピスタッキオそのものの味は、非常に繊細、悪くいうと特徴がはっきりないので料理に使うのは「見た目」といったところもかなり多いようです。
私自身、ピスタッキオのパスタなどをブロンディで食べましたが、美しいですが美味しさは期待するほどのものではありませんでした。

そんな中、無理を言って、ピスタッキにあう、シチリアらしい料理を考案してもらいました。火を通しても鮮やかなままのピスタッキオはインボルティーノにして、そしてもうひとつはタルタルに。 これは納得の美味しさでした。
あともうひとつ、シチリアのピスタッキオは「ブロンディが一番」というわけではなく、「有名」だということです。ブランドに弱い私たちはすぐにそれを探してしまいそうですが、シチリア産であればこだわらなくても、十分に美味しいということです。料理は「頭」ではなく、自分の五感で味わいたいものですね。

▲定番のインボルティーノとタルタルの一皿で鮮やかなセコンドが完成
▲ピスタッキオはシチリア産ならOK、ブロンディが有名ですが、そこにこだわらなくても美味しいそうです。
▲カッサータヌッダ。リコッタの中と上にピスタッキオをいれて。

シェフのための特訓コース2)イタリア料理のテオリー。ニンニクはいつ入れる?

新鮮な春の野菜たち、鮮やかな緑は飾るだけでもかわいいインテリアのよう         
▲自宅の中の菜園からすぐに必要な材料を収穫、香り高いレモンは葉まで利用可能
▲フィノッキオセルバーティコを収穫する様子
 ただ料理を作るだけでなく、イタリア料理&シチリア料理の基本から教えてくれるベーシックなコース。日本料理と比較しながらの説明は非常にわかりやすいものでした。
おいしいイタリア料理を作る基本は、とにかく調味料をあまり使わないこと。美味しいオリーブオイル、塩、酢、そしてニンニク、胡椒があればイタリア料理はおいしくできるということでした。
あとは素材を活かした材料の切り方や入れるタイミング。
イタリア料理は味が濃い、しょっぱいというイメージですが、それはここにきて違うということを教えられました。
塩は減らすことができないので最後で調整する、パンチェッタやアンチョビを使用する際は引き算してから入れる。
日本料理でもそうですよね。
ニンニクはよくテレビなどで必ず最初に入れますが、それは違うそうです。
もしも玉ねぎを入れるなら、玉ねぎが最初、それが色づいてからニンニク。なぜならニンニクが焦げると苦味がでておいしくないからだそうです。
繊細なスープにはニンニクを丸のままいれてすぐにとりだしたり、しっかりと香をつけるものには潰していれたりと、仕上がりのイメージにあわせてニンニクを 調整します。それだけでも全く仕上がりが違ってきます。
これも今回のコースのほんの一部です。
 コースの終わる頃には非常にイタリア料理が繊細なものに感じてきました。
▲フィノッキをたっぷりと使った白インゲンのスープ、自家製のオリーブオイルを最後にひとふり

▲スミレの花の砂糖づけ、濃いスミレの香は食後の口をアロマの香りでみたしてくれる。フルーツにそえれば立派なデザートに。 

冬のドルチェ、ジェロディアランチャ。リベーラの美味しいオレンジのジュースをしっかりと中に蓄えて、オレンジをそのまま食べているような味です。




2015年3月20日金曜日

シェフのためのシチリア料理特訓コース1)

▲リゾット・アランチャ、シチリアらしい一品
幅広いイタリア料理、全ての街を網羅するのは、とっても難しいことです。
そこでシチリア島を限定し、しっかりとそこにスポットを置いた料理教室をプロのために開催しました。
場所はボローニャ大学、エノガストロミアの非常勤講師であり、執筆家でもある料理研究家 の自宅、マルティーノ。アグリジェントの近くです。
多くの本を執筆し、時にはリストランテのメニュー開発にも携わっている料理のプロフェッショナルです。
大学で学んだシチリア料理の知識とあくなき追求心、シチリア料理の奥にねづく深い歴史(アラブ、フランスetc・・・)にはじまり、素材の選び方や切り方、その哲学までを徹底してレクチャーします。

さて・・・
今日はリゾットの作り方。日本では残念ながら「リゾット」に日本米を使用し、「半煮えの米」を「アルデンテ」といって、出すところも少なからずあります。

そのためリゾットにふさわしい、米の選び方、そして肉にはこの米を、魚にはこれなど、素材にあわせた米の選び方の基本を学びました。

そして次に大切なのは、brodo(スープ )の取り方。
選ぶべき素材を生徒に選んでもらい、なぜそれがだめなのか、それが良いのかを、丁寧に教えていきます。

今日のレシピはオレンジのリゾット、野菜のブロードを使った非常にデリケートな一皿です。グリルした魚とオレンジの相性は絶妙、見た目の華やかさは言葉もありません。
彼の庭になるオレンジを木からもぎとり、その皮を使いました。
広い敷地で包丁をもって収穫にいくのも、素材を大切にするイタリア料理のベースを強く感じさせてくれます。この上ない贅沢な時間をここで過ごしてみませんか。
▲天気の良い日は外でテーブルセッティングをして試食会、心地よい。    

▲ジャポニカ米、fino,meta fino,様々な種類の米を前に、適切な米の選び方を学ぶ貴重な体験。

▲魚、肉、野菜etc・・・、それぞれに違う 米をあわせる。日本米はリゾットには問題外だそうです。。。。

▲今回、魚にあわせたのはドイツとの県境の町のリースリング、爽やかな酸味がぴったりでした。